今年は観光庁から様々な補助金が実施されていますが、その中から現在公募中、またはこれから実施される予定の補助金についてご紹介いたします。直近の公募が終わってしまうものもあります、次回公募もあるかもしれませんし、先日公表された観光庁の令和7年度の予算概算要求資料でも今年度と同様の事業(補助金)の名称が見受けられます。これを機に今後投資していくならこの補助金を使おう。など今後の計画に役立てていただけますと幸いです。
今回ご紹介させていただく補助金を申請するためには「宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドライン・登録制度」への登録(申請中も含みます)が必要になります。
この制度についてはSATO行政書士法人が運営するHP「民泊・観光事業supportサイト」でご紹介していますので、こちらも併せてご覧ください。
民泊・観光事業supportサイト≪URL≫
ページ内記事:宿泊業の高付加価値経営ガイドラインに基づく登録制度への登録をしよう≪URL≫
≪今回取り上げる補助金≫
1.令和6年度「宿泊施設インバウンド対応支援事業」
令和6年7月31日(水)~ 令和6年8月30日(金)17:00
2.令和6年度「宿泊施設サステナビリティ強化支援事業」(2次公募)
令和6年8月1日(木)10:00 ~ 令和6年8月30日(金)17:00
3.「観光地・観光産業における人材不足対策事業」(3次公募)
令和6年9月2日(月) ~ 令和6年9月30日(月) 17:00
1.令和6年度「宿泊施設インバウンド対応支援事業」
この事業には、宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業と宿泊施設バリアフリー化促進事業の2つの事業があります。
(1)宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業
(補助対象事業:混雑状況の見える化、バリアフリートイレの整備)
≪補助対象事業≫
(1) 混雑状況の「見える化」
(2) バリアフリートイレの整備
≪補助対象事業者≫
(1)宿泊事業者等団体
複数の宿泊事業者やその他関係する事業者等により構成される団体
※宿泊事業者等団体の他に、構成員となる5以上の宿泊事業者により構成されることが必要
(2)構成員宿泊事業者
宿泊事業者等団体の構成員である宿泊事業者
5以上の宿泊事業者が共同してとりまとめ役を決めて申請
(3)特定宿泊事業者
DMO(DMO又はその候補として観光庁長官の登録を受けた法人)又は地方公共団体と連携して地域の訪日外国人の宿泊者数を向上させるための具体的な取組を行っている宿泊事業者
※1DMOと連携し、訪日外国人向けのコンテンツの充実やサービスの向上に特定宿泊事業者が自主的に取り組んでいること
※2特定宿泊事業者が地方公共団体と連携し、主体的に海外へのPRを行っていること
少々わかりにくいですが、単独で申請する場合には(3)に該当する必要があります、(1)及び(2)については共同申請の形になります。
≪補助額・補助率≫
補助額:補助対象経費に補助率を乗じて得た額以内
補助率:1/3
ただし、宿泊事業者等団体、一の構成員宿泊事業者又は一の特定宿泊事業者に対する補助金の額はそれぞれ150万円が上限
≪補助対象経費≫
① 使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
② 補助金交付決定以降の契約・発注により発生した経費
③ 証拠書類・見積書等によって契約・支払金額が確認できる経費
「バリアフリートイレ」に関しては高齢者や障がい者、妊婦などの利用に配慮した手すりや折りたたみベッド、オストメイトなどを備えたトイレの整備、「混雑状況の見える化」というのは、スマートフォンや客室のテレビ(モニター)から、浴室やレストランなどの混雑状況が確認できるようなシステムの導入となります。
(2)宿泊施設バリアフリー化促進事業
(補助対象事業:客室における改修等、共用部における改修等、災害対応に資する設備の導入)
≪補助対象事業≫
バリアフリー法等の関係法令や高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準等のバリアフリー化に関する基準等を踏まえた改修内容
① 客室における改修等
② 共用部における改修等
③ 災害対応に資する整備の導入
≪補助対象事業者≫
宿泊事業者
旅館業法(昭和23年法律第138号)第3条第1項に規定する許可を受けた者。
ただし、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第6項に規定する店舗型性風俗特殊営業を営む者を除く。
≪補助額・補助率≫
補助額:上限500万円 ※自治体と防災協定を結んでいる宿泊事業者に限り、上限1,000万円
補助率:1/2
≪補助対象経費≫
① 使用目的が補助対象事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
② 補助金交付決定以降の契約・発注により発生した経費
③ 証拠書類・見積書等によって契約・支払金額が確認できる経費
これからの新築や法令又は条例において義務とされている整備内容は補助対象外となりますのでご注意ください。もちろん、バリアフリー機能向上を伴わない、又はバリアフリー化に関連しない改修、設備等の更新、交換等も対象にはなりません。
2.令和6年度「宿泊施設サステナビリティ強化支援事業」(2次公募)
訪日外国人旅行者の増加に向けた、サステナビリティ(持続可能性)向上のための補助金になります。もう少し「サステナビリティ」を説明しますと、環境や経済等に配慮した活動。特に企業活動においては、環境保護、経済開発、社会開発の3つが重視される観点となります。
当補助金は、宿泊施設における省エネ設備等の導入に要する経費の一部を助成することにより、訪日外国人旅行者の受け入れに向けて宿泊施設のサステナビリティの向上を支援するものとなっています。
≪補助対象事業者≫
宿泊事業者
旅館業法(昭和23年法律第138号)第3条第1項に規定する許可を受けた者。
ただし、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第6項に規定する店舗型性風俗特殊営業を営む者を除く。
≪補助額・補助率≫
補助額:上限1,000万円
補助率:1/2
≪補助対象経費≫
宿泊施設において実施する省エネ対策に資する以下に掲げる設備・備品の購入・設置に要する経費(設備・備品の購入・設置に附随する経費を含む。)
・ 省エネ型空調
・ 省エネ型ボイラー・配管等
・ 二重サッシ等
・ 太陽光発電、蓄電設備
・ 節水トイレ等
・ 照明機器
・ その他省エネ対策に必要な設備・備品
躯体の新設工事、法令又は条例において義務とされている設備等の新規導入は対象にはなりませんのでご注意ください。
再エネ導入や古い設備の入れ替えによって省エネ化を支援する補助金は増えてきていますが、基本的には石油等や電気を消費する設備の入れ替えが中心です。しかし、当補助金のように二重サッシや節水トイレなど、それ自体がエネルギーを消費しない設備の入れ替えも業態に合せて補助対象として認められています。
他の補助金を活用していると他の同様の補助金が活用できないといったケースもありますので、このあたりの制度の把握や選択も大事になってきます。
2.「観光地・観光産業における人材不足対策事業」(3次公募)
現在、様々な業種で人手不足となっていますが、当補助金は旅館業者向けの人手不足対策事業です。人手不足解消となる機械(ロボット)やシステムを導入し、サービス水準の向上及び賃金の向上を図るものです。
≪補助対象事業者≫
宿泊事業者
旅館業法(昭和23年法律第138号)第3条第1項に規定する許可を受けた者。
ただし、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第6項に規定する店舗型性風俗特殊営業を営む者を除く。
≪補助額・補助率≫
補助額:1施設上限500万円 1事業者4施設が上限
補助率:1/2
※3次公募から4施設が上限とされ、一次公募から三次公募までで、あわせて4施設が上限となります。
≪補助対象経費≫
宿泊施設において実施する人手不足の解消に資する以下に掲げるシステム、設備及び備品の購入、導入及び設置に要する経費(システム、設備及び備品の購入、導入及び設置に附随する経費を含む。)
・ スマートチェックイン・アウトシステム、チャットボット及び宿泊施設管理システム(PMS)等の各種システム
・ 配膳・清掃ロボット等の設備
・ その他人手不足の解消に必要な設備・備品
※ 月額・年額で使用料金が定められている形態の製品(サブスクリプション販売形式等)及びその保守は、最大2 年分の費用が補助対象となります。ただし、前払いが可能で、精算時までに支払いが完了するものに限ります。
現在、人手不足対応のための補助金といえば中小企業省力化投資補助金が実施されていますが、当補助金はその旅館業特化版といった内容となっています。
この制度を活用するにあたって気をつけなければならないのが、中小企業省力化投資補助金の公募要領に記載の補助対象外の事例として、『観光庁の「観光地・観光産業における人材不足対策事業」により設備投資に対する補助金の交付決定を受けた事業者、あるいはその申請を行っている事業者』という内容があります。
当補助金の公募要領に具体名を挙げた記載はありませんが、『同一の内容について、国が助成する他の制度(補助金、委託費等)と重複する事業は補助対象となりません。』の箇所が同様の内容になると考えられますので、申請の際は注意しましょう。
その他にも申請要件や細かい注意点などもありますので、申請をお考えの方は是非ご相談ください。
SATO行政書士法人では補助金に関するご相談や申請のサポートを行っております。スムーズな申請や活用のための提案などを行っておりますので、お気軽にご相談ください。
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