フロント・清掃等の業務を効率化!自動化で人手不足を乗り切る【中小企業省力化投資補助金】活用術

深刻化する人手不足という課題を抱える宿泊業の皆様へ。国では、この状況を打開するため、最大1億円の支援が可能な【中小企業省力化投資補助金(以下、本補助金)】という制度を実施しています。これは、自動チェックイン機や清掃ロボットなどの汎用製品の導入を支援し、中小企業等の売り上げ拡大や生産性向上を後押しするものです。宿泊業においては、フロントや清掃などのオペレーション効率化に直結し、活用が強く見込めます。本記事では、本補助金を最大限活用し、人手不足を乗り切るための具体的な活用術を解説します。

1. 中小企業省力化投資補助金とは?人手不足解消のための国の支援

中小企業省力化投資補助金は、これまで人手で行っていた製造業務やサービス提供に、ロボットやシステム、設備機器を導入することで工数を大幅に削減し、人手不足の解消を目指す場合に活用できる制度です。

本補助金は「カタログ注文型」と「一般型」の2つの類型があり、申請可能です。

1-1. 類型ごとの特徴と宿泊業での活用
「カタログ注文型」は付加価値額向上や生産性向上に効果的な汎用製品を本補助金公式HPに掲載されたカタログから選択・導入できる制度です。清掃ロボットや配膳ロボット、スチームコンベクションオーブンなど、導入が容易で即効性のある汎用製品の導入に利用されます。
「一般型」については、個別の現場や事業内容等に合わせた設備導入・システム構築等を支援するものです。具体的には宿泊業の「宿泊業務一元管理システム」や飲食業の「オートフライヤー、ドゥメイクマシン、ベーカリースキャン」といった 厨房機器を組み合わせた現場のニーズに合わせた設備導入に利用されています。

1-1. 補助金採択のための基本要件
本補助金は、導入後の成果を重視しており、類型ごとに以下の基本要件を満たす事業計画の策定が必要です。
① カタログ注文型
■ 補助事業終了後3年間で毎年、申請時と比較して労働生産性※を年平均成長率3.0%以上向上
※(付加価値額)=(営業利益)+(人件費)+(減価償却費)
(労働生産性)=(付加価値額)÷(従業員数)
■ 事業場内最低賃金※1を45円以上増加、または給与支給総額※2を6%以上増加させる賃上げ目標を達成することで、補助上限額の引き上げも可能
※1:事業場内最低賃金とは、補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金をいいます。
※2:給与支給総額とは、全従業員(非常勤を含む)に支払った給与(所定内給与のみとし、賞与、福利厚生費、法定福利費及び退職金は含まない)をいい、役員報酬等は含みません。
② 一般型
■ 労働生産性の年平均成長率を4.0%以上増加
■ 給与支給総額の年平均成長率が2.0%以上増加、または一人当たり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県の最低賃金の年平均成長率以上であること
■ 事業場内最低賃金が、事業実施都道府県の最低賃金+30円以上の水準であること
■ (従業員21名以上の場合)次世代育成支援対策推進法(子育て支援などに関する法律)に基づく一般事業主行動計画を公表等すること

2. 宿泊業における具体的な活用事例と効果

本補助金は、「カタログ型」「一般型」それぞれの類型で、宿泊業における人手不足の課題解決に直結します。ここでは、具体的な活用事例を紹介します。

2-1. フロント業務の抜本的改善(一般型活用例)
フロント業務は、接客と事務作業が混在し、人的負担が大きいセクションです。本補助金の一般型を活用することで、フロント業務の在り方を根本から変えることが可能です。
■ 導入製品例:自動チェックイン機、ICカードロックシステム
■ 詳細な活用と効果
自動チェックイン機を導入することで、予約管理・案内、チェックイン・アウト、精算機能、ルームカードキー発行・回収といった基本的なフロント業務の全てを自動化できます。これにより、社員1日当たり6時間以上を割いていた事務的な作業の大部分が不要となります。
削減された時間を飲食提供業務、顧客サービス等の付加価値の高い業務に充当することで客単価アップや年間売り上げ増加を実現します。

2-2. 清掃コストと厨房業務の効率化(カタログ注文型)
現場の定型業務を代替えする本補助金のカタログ注文型は、省力化の即効性が高い分野での活用が進んでいます。
■ 導入製品例:清掃ロボット、スチームコンベクションオーブンなど
■ 詳細な活用と効果
清掃ロボットを客室や共用エリアに導入することで清掃作業をロボットが担うことが可能となり、清掃員の人件費や外部委託費の外注負担を軽減。夜間や早朝の定型清掃を自動化することで、清掃スタッフの労働時間の柔軟な調整が可能となります。
スチームコンベクションオーブンを導入することで調理工程の自動化が可能となり、メニューの均質化と提供の高速化が実現、厨房業務の省人化が促進されます。人手不足が続く中でも調理品質を維持・向上させつつ、飲食サービスを安定的に維持・拡充していくための土台となります。

3.  知っておきたい補助上限額と補助率

3-1. カタログ注文型の補助上限額と補助率

補助対象 補助上限額 補助率
カタログに登録された製品等 従業員数5名以下 200万円(500万円) 1/2以下
従業員数6~20名 500万円(750万円)
従業員数21名以上 1,000万円(1,500万円)

※賃上げ要件を達成した場合、()内の値に補助上限額を引き上げ

3-1. カタログ注文型の補助上限額と補助率

補助対象 補助上限額 補助率
個別現場の設備や事業内容に合わせた設備導入・システム構築 従業員数5名以下 750万円(1,000万円) 【中小企業】
補助金額が1,500万円まで1/2(2/3)
1,500万円を超える部分1/3

【小規模事業者、再生事業者】
補助金額が1,500万円まで2/3
1,500万円を超える部分1/3
従業員数6~20名 1,500万円(2,000万円)
従業員数21~50名 3,000万円(4,000万円)
従業員数51~100名 5,000万円(6,500万円)
従業員数101名以上 8,000万円(1億円)

※大幅な賃上げを行う場合、()内の値に補助上限額を引き上げ
特に、従業員101名以上の企業が大幅な賃上げを行う場合、最大1億円の補助上限額が適用されます。この破格の支援を活用することが、人手不足を乗り切る大きな鍵となります。

まとめ

本補助金は一般型で最大1億円、カタログ型で最大1,500万円の支援で、自動チェックイン機や清掃ロボットなどの設備を導入し、宿泊業の深刻な人手不足という課題を解決するための効果的な手段の一つです。本補助金を活用し、工数を削減することで生まれた時間をサービス向上や高付加価値業務に振り分け、ぜひ人手不足を成長の機会に変えていきましょう。 SATO行政書士法人では補助金に関するご相談から申請サポートまで、幅広く支援を行っております。申請要件や細かい注意点などのアドバイス、スムーズな申請と活用のための具体的な提案など、専門家の視点でサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。

 SATO行政書士法人では民泊に関するご相談や申請のサポートを行っております。スムーズな申請や活用のための提案などを行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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