飲食店開業のための手続きと注意事項

飲食店開業のための手続きと注意事項

飲食店の営業許可は、日本において店舗を設立する上で不可欠な資格です。ここで言う飲食店は、カフェやレストラン、さらには移動販売車やイベント出店の屋台まで幅広く対象となります。要するに、食品の調理と提供を行うすべての事業形態でこの許可が求められます。

「飲食店営業許可」は、開業予定の飲食店所在地の管轄保健所に直接窓口で申請して取得する方法と、厚生労働省のウェブサイトにある「食品衛生申請等システム」から申請する方法があります。この「食品衛生申請等システム」は2021年6月1日から運用を開始しており、これまで保健所の窓口で手続きを行っていた営業許可などの申請・届出がオンラインで可能になりました。

取得した許可証は、お客様が見やすい位置に掲示しなければなりませんので、これまで見たことがない方は、ぜひお気に入りのお店などで探してみてください。

飲食店の営業許可を取得するためには、以下の要件があります。

1. 食品衛生責任者がいること

・ 食品衛生責任者とは:

食品衛生責任者は、飲食店において食品衛生管理全般を責任持って行う役職です。その役割は食材の取り扱いから調理、提供まで幅広く、消費者の健康と安全を保障する役割を果たします。食品衛生法に基づく規制に準拠し、店舗が安全かつ清潔な状態を維持できるよう指導・監督を行います。

食品衛生責任者の資格要件は以下の通りです。

  1. 医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、栄養士、調理師、製菓衛生師、船舶料理士、食鳥処理衛生管理者、食品衛生管理者、食品衛生監視員の資格を有している者、食品衛生指導員又は食品衛生指導員であった者、他の都道府県等において食品衛生責任者の資格を有していた者
  2. 各都道府県などの自治体・保健所が実施している食品衛生責任者養成講習会を修了した者

雇用形態に関わらずの専任要件
食品衛生責任者は、雇用形態に関わらず、営業所において専任の立場で配置される必要があります。つまり自社のスタッフでも外部の有資格者に依頼しても大丈夫です。これにより、食品衛生に関する業務に専念し、常に店舗の衛生状態を確保することが期待されます。


2.営業施設(お店)の要件について

飲食業の営業施設に関する要件は一般的に以下の通りになります。

  • 調理場と客席が分かれていること
  • 流し(シンク)が二つ以上あること
  • 手洗い場(固定の消毒装置付き)があること
  • 床材が耐水になっていることこと
  • 冷蔵庫があること
  • 扉付きの収納があること
  • 床、天井、壁は平たんになっていていること
  • 水、お湯がでること


また、以下のような施設基準も考慮されます。

  • 適切な換気、空調、空気の流れの管理により、結露、カビ発生、汚染区域から清浄区域への空気の流入等を防止する構造、設備を備えること。
  • 適切な温度及び湿度が維持できる設備を設けること。

これらの要件は、飲食店の営業許可を取得するために必要です。具体的な要件は都道府県により異なる場合がありますので、詳細は管轄の保健所にお問い合わせください。


3.許可申請に必要な書類と申請手順

  • 飲食店営業許可申請書:この申請書は、管轄の保健所窓口や各都道府県の自治体ホームページから入手できます。保健所によって形式が違う場合があるので、必ず管轄内の保健所の様式を使いましょう。必要事項を記入し、わからないことがあった場合は、空欄にして事前相談の際に確認します。
  • 場所の見取り図:お店の所在地がわかる地図を記入します。詳細に記入する必要はありませんが、最寄駅や目印となる建物などを入れ、だいたいの場所がわかるようにしましょう。
  • 営業設備の大要・配置図:店舗内設備の概要や配置をリスト化したものです。自分のお店で該当するものを記載していきます。
  • 内装の配置の平面図:店舗内の内装の配置を平面図にして記入します。この図は、保健所の検査官が店舗のレイアウトを理解するために使用されます。
  • 水質検査成績書 : 貯水槽や井戸水を利用する場合に提出する書類です。この書類は、飲食店が使用する水が安全であることを証明するために必要です。
  • 登記事項証明書:法人が申請する場合に提出する書類です。この書類は、法人の正式な登録情報を証明するために必要です。
  • 窓口での申請手続き:まず所轄の保健所に予約を行い、その後、前述の資料を保健所に提出する前に確認してもらいます。保健所の指示に従って必要事項を修正したら、窓口で申請書類を提出します。
  • オンライン申請の手順:厚生労働省のウェブページにアクセスし、ホーム → 政策について → 分野別の政策一覧 → 健康・医療 → 食品 → 食品衛生申請等システムの順に進んでください。食品衛生申請等システムのページには紹介動画が掲載されてますので、ぜひご覧いただければと思います。


4.保健所に事前相談の重要性

飲食店を開業する際には、工事が始まる前に保健所での事前相談が非常に重要です。この段階での慎重な対応が、後のスムーズな営業開始に直結します。以下に、具体的な手順やその重要性について詳しく説明します。

事前相談の手順とポイント

  • 相談の目的明確化::まず、事前相談の際には開業する飲食店の構想や設計図を保健所に提出します。これにより、保健所は店舗の構造や設備について把握し、必要な規制や基準を明確にします。
  • 設計図の提出:開業予定の店舗の設計図を用意し、これを保健所に提出します。この際には、調理スペースや席の配置、衛生設備などが詳細に描かれていることが求められます。
  • 確認:提出された設計図を保健所の担当者が確認します。
    事前相談が絶対に必要です。その理由は以下の通りです。
  • 問題の早期発見:事前相談を通じて、設計図に潜む問題や不備が早期に発見されます。これにより、後の検査での改修が求められるリスクを軽減できます。
  • 費用と時間の節約:事前に確認を受け、問題がない状態で工事を進めることで、後での急な改修が発生する可能性が低まります。これにより、余分な費用や時間の浪費を防ぐことができます。

総じて、飲食店開業においては、工事に着手する前に保健所での事前相談を欠かさず行うことが、円滑な営業スタートへの鍵となります。


5.飲食店の営業許可の費用

営業許可の申請には、申請手続きの手数料を支払う必要があります。
地域によって金額は多少異なりますが、新規で取得する場合、だいたい16,000円~19,000円程度のところが多いでしょう。
継続・更新の申請の場合は、約12,000円前後になり、書類を窓口に提出する時に一緒に支払います。

また、これらの手続きを行政書士事務所など代行業者にお願いする場合は、そちらへの手数料もかかります。
こちらも行政書士事務所によって変わりますが、30,000円~100,000円くらいのところが多いようです。

また、業種によって警察書への届出が必要なパターンもあるため、自分で手続きを行う時間がない方や、難しすぎると感じる方は、最初から全てお願いするという方法もあります。

まとめ

お店をオープンするには、最初の大きなハードルが営業許可の申請です。オープンまでの準備には内装やスタッフなどさまざまな課題があり、申請手続きに時間を充てることが難しいこともあります。

スムーズな申請のために事前に準備を重視することが肝要です。特に店舗のレイアウトに関しては、後での変更が難しいため、不備のないように慎重に進める必要があります。

開店時期の遅れやトラブルを避けるためには、事前相談を行い、アドバイスを受けながら着工に進むことが重要です。スムーズな営業開始を目指すには、計画的で慎重なアプローチが不可欠です。

当行政書士事務所は、飲食業営業許可申請において蓄積された豊富な経験を持ち、お客様とともに歩みながら、スムーズな手続きをサポートいたします。信頼と実績に裏打ちされた専門的なアドバイスと丁寧なサービスで、安心してお店の開業に向けてお手伝いいたします。

お客様の夢を共有し、円滑な営業開始への第一歩を共に踏み出しましょう。

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